第74章 騙される

待ち続けるうちに、いつしか1時間が過ぎていた。

ロビーに留め置かれた面々は、用意された酒と料理で腹を満たしていたが、泥棒を確保できていない以上、勝手に帰るわけにはいかない。結局、全員がロビーで待機するしかなかった。

内心では苛立ちを募らせる者も多い。だがそれが三浦会長の意向となれば、顔には出せない。

商売人にとって、商会の会長ほど敵に回してはいけない相手はいない。

一度でも機嫌を損ねれば、明日から取引が途切れ、居場所ごと消える。三浦会長がひと言命じるだけで、業界の人間などいくらでも潰せる。それが権力というものだ。多くの者が喉から手が出るほど欲しがる、甘くて恐ろしい力。

工藤達央は慌...

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